【徳倫理学】アウグスティヌス(Augustinus)– 西洋哲学史と倫理学のキホン(116) –

徳倫理学の源流とされるソクラテスプラトンアリストテレス以降、徳に関する考察は、中世から近代においては傍流となった。
しかし、そのなかでも、徳に関して目立った主張をしたのが、中世においてはアウグスティヌス(354~430)であった。

アウグスティヌスは、キリスト教の教父である。
彼は、プラトンの哲学に大きな影響を受けながら、キリスト教の教義を確立した。
特に、神、子(イエス)、聖霊がそれぞれ3つの位格(ペルソナ)でありながら、1つの神格であると唱えた「三位一体論」は有名である。

そのアウグスティヌスによれば、人間は原罪を負っているため、その自由意志は善を行おうとしても、欲望に惑わされ、悪を行なってしまう。
そんな人間の自由意志を善へ導くのは、人間自身の力ではなく、ただ「神の恩寵」だけである。
その「神の恩寵」が教会を通してもたらされれば、人間は幸福になれる。
だから、人間は、パウロ(初期キリスト教の伝道者)が言ったように、「神の正義はイエスの贖い(あがない)によって示された」と信仰し、「神の国の到来と救い」を希望し、「神への愛と隣人への愛」を実践しなければならない。
アウグスティヌスは、これら「信仰」「希望」「」を、キリスト教の「三元徳」として、「(ギリシアの)四元徳」の上位に位置づけた。

なお、「三元徳」と「(ギリシアの)四元徳」は合わせて「七元徳」と呼ばれるが、中世において重要な徳として論じられた。

※関連ページ:「アウグスティヌス:自由意志論

◀ 【徳倫理学】アリストテレス:観想と幸福

【徳倫理学】ヒューム ▶

西洋哲学史と倫理学のキホン:もくじ